2016.10.30.KIRINJI@品川ステラボール

アルバム『Neo』を8月にリリースしたのを受けてのツアー、その最後から2番目の公演。    

印象をひと言で言えば、「いよいよライブ・バンドという感じになってきたなあ」ということになる。堀込高樹のMCの言葉を借りれば、「いろんなメンバーがメイン・ボーカルを担当するようなグループにしたくて」新生KIRINJIが生まれたということだが、ボーカルだけでなく、演奏楽器も千ヶ崎学がベースをエレキとウッドの持ち替えに加えてトロンボーン、コトリンゴはエレピとシンセベース、弓木英梨乃がエレキギターとヴァイオリン、田村玄一がスティールギターとスティールパン、それにバンジョー、そして堀込はエレキギターとアコギ、そしてリコーダー、というふうにいろいろ持ち替えて多彩なアンサンブルを披露。その多彩さを人力でまかなおうとする姿勢がライブ・バンド的だと感じたわけだが、個人的には弓木のギター・カッティングが心地よく、これからのKIRINJIライブは彼女のカッティングを中心に楽しむことになりそうだ。もちろん、多彩でありながらも、しっかりKIRINJIサウンドとしてグリップされているのは言うまでもなく、だからアップなナンバーはしっかり盛り上がり、メランコリックな曲ではちゃんとしみじみする。端正なレコーディング音源とのコントラストがいっそう際立って、KIRINJI音楽の楽しみがいっそう深まった夜だった。