浜崎貴司が続けている弾き語りによる対決シリーズ”GACHI”のシーズン3その3。この日は同い年対決だ。
このシリーズの恒例に従って、最初は二人で出てきてテーマと数曲演奏するわけだが、そこでまず民生がマッチ風のボーカルを披露して、最初のウケをとる。その後も玉置浩二風を聴かせるなど達者なところを見せた奥田は、以前ARBのカバー・アルバムでも見事な石橋凌風を聴かせていた。思うに、人の歌を音として解析する能力が彼はおそらく高いんだろうし、その解析した結果を音化するために発声をコントロールする精度が高いんだと思われるが、それはつまり音に対して敏感ということである。
それにしても、ふたりのボーカルのスタイルはずいぶん違う。そんなことは誰でも承知していることだろうが、あらためて思うのは言葉の慈しみ方みたいなことだ。奥田は、ある種薄情に、ある種無責任に、少なくともそういうふうに受け取られかねない感じで、言葉を吐き出す。対して、浜崎の言葉の送り出し方は受け取り手に手渡すような具合だ。もちろん、どちらがいい/悪いという話ではなくて、完全に好みの問題だとは思うけれど、ただこの日ポロリと奥田が「バンドぉやりたいな」とこぼしたときに思ったのは、音楽家としてのアイデンティティをバンドに求めるのか、それよりももっと個人的なところに求めるのかの違いであるようにも思われた。
そんなことを思っていたら、最後にYO-KINGが出てきて「ドカーン」を歌ったから、いよいよ言葉の送り出し方ということに気持ちが向いた。というのも、最近のYO-KINGの歌には個人的に少し変化を感じていたのだけれど、この日の「ドカーン」を聴くと、昔の彼はもっと無邪気に放り出すように言葉を発していたんじゃないかなあと思った。それも、いい/悪いの話ではないのだけれど。
それにしても、奥田、YO-KINGと並ぶと、浜崎の朴訥とした生真面目さがついつい際立ってしまうのが、少しおかしかった。
1.GACHIのテーマ(奥田&浜崎)
2.すにーかーぶるーす(奥田&浜崎)
………以下、奥田ソロ……
3.さすらい
4.野ばら
5.ひとりカンタビレのテーマ
6.The STANDARD
7.Girl
8.SUNのSON
9.CUSTOM
10.マシマロ
11.すばらしい日々
………以下、浜崎ソロ……
12.JOY!
13.MUSASINO
14.光
15.くちづけ
16.風の吹き抜ける場所へ
17.ドマナツ
18.友情のエール
19.幸せであるように
……………………………………
20.I WANNA BE YOUR MAN(奥田&浜崎)
21.歌うたいのバラッド(奥田&浜崎)
22.イージュー☆ライダー(奥田&浜崎)
23.ありがとう(奥田&浜崎)
24.夢の中へ(奥田&YO-KING&浜崎)
25.ドカ〜ン(奥田&YO-KING&浜崎)
26.GACHIのテーマ(奥田&YO-KING&浜崎)
………ENCORE……
27.君と僕(奥田&浜崎)
28.ソウルシンガー(浜崎ソロ)